THE CREATORS vol.2
2023.07.06
注目のクリエイターに、既存の枠にとらわれない表現を引き出してもらうことで、自己表現の可能性を広げていく企画「THE CREATORS」。第2回目は、大胆な発想でプレイフルなメイクアップを次々と提案しつづける人気ヘアメイクアップアーティスト・那須陽子さんが登場! インスタグラム(@nasup)では約17万人以上のフォロワーを誇り、Z世代を中心に熱狂的なファンを持つ“nasuメイク”は、いかにして生み出されるのか? KATEのアイテムを駆使した新たな“nasuメイク”を披露していただきながら、その自由な発想の源を探るインタビューをお届けします。
――今回の「THE CREATORS」では、那須さんならではのメイクテーマで、2回にわたって新しいメイクアップを披露していただきます。まずはヘアメイクアップアーティストとしての那須さんを知るために、この職業を選んだ経緯から教えてください。
昔から、ファッションショーやライブ、舞台などのステージメイクを見るのが好きで、メイクや髪型だけで別人みたいに変身できるのがおもしろいなと思っていたんです。だから、この職業に憧れていたというよりは、誰かを変身させたい!という気持ちがあって。そのためにはヘアメイクアップアーティストになるのがいいなと考えました。
ヘアメイクの学校で美容師の資格を取り、サロンで働きながらヘアメイクの先輩のアシスタントに付いて、現場のことを勉強しました。そのうちヘアメイクのお客さんも増え、雑誌などメディアのお仕事もやらせていただくようになって。もっといろんなことに挑戦してみたい!と思って独立しました。
――ヘアメイクの仕事で、特に大切にしていることはありますか?
人それぞれのパーソナルな部分を大切にした方がうまくいくなと感じているので、モデルさんのことは事前にかなりリサーチします。この人はここが可愛いな、でも、左向きの写真が少ないのは嫌なのかな?とか。こういった系統のメイクが多いな、とか。そして現場では「どんなのが好き?」「どんなふうになりたい?」ってコミュニケーションをとりながら進めていきます。それで、たとえば「アイドルの○○ちゃんが好き」と言われたら、「じゃあ今日は○○ちゃんになろうか!」って。願望や苦手意識を聞いたうえで「こうしたら近づけるよ! 変われるよ!」と、私だからできる提案をメイクで叶えたいと思っています。
――那須さんのメイクはカラフルでインパクトがあって、見ているだけでハッピーになれる遊び心にあふれていますよね。そのインスピレーションの源は何ですか?
美しいものを見るのが好きなので、普段から、人でも洋服でも風景でも建物でも、とにかく美しいものを無意識に探していて、ピンときたら写真に撮って保存しています。美しいものを見て「きれいだな」と思う、その感情が好きで、今っぽくいえば「エモい」感じ。
海外にもよく行くんですが、たとえば北欧は、店の看板でもハッとするような配色のものがある。そういうふうに自分の気持ちが上がるものを常にキャッチしているので、今回こんなヘアメイクテーマで……という話があったときに、それならあの感じ!って自然にイメージが浮かんでくるんです。
――現在のスタイルを確立する、きっかけとなったものはありますか?
韓国のメイクに出会ったことが大きいです。アイドルメイクを派手に美しく、俳優メイクを可憐に繊細に仕上げていて、かつ、人それぞれに似合わせている……そんな韓国メイクに感銘を受けました。
それまでは彫りの深い目もとや骨格に憧れていましたが、自分自身にメイクをすると全体的になんかアンバランスで。自分の骨格を活かしつつも、こんなに垢抜けたキラキラ感のあるメイクができるんだ!と感動して。そこから、その人の個性を活かしながらも「映える」メイクを目指すようになりました。
――那須さんのメイクは“nasuメイク”という愛称で、若い世代を中心に多くのファンがいます。特に印象的なのは、那須さんらしい「派手メイク」。どういった経緯で派手メイクが得意分野になったのでしょう?
先ほどもお話しした、ステージメイクが原点にあると思います。
でも自分では特に派手にしようと思っているわけではなくて。色のきれいなものが好きで、さらに普通ならやらないようなことも思い付いたらすぐに行動するので、いつの間にか「派手メイク」になっていた感じです。
――那須さんが思う「派手メイク」の魅力とは?
「派手メイク」って、単に強い色や線を使った、濃いだけのメイクじゃない。派手に見えるということは、つまり「その人に似合っていてパッと人目をひく印象的なメイク」だと私は考えているので、その人の個性を否定せず、活かしながら最大限に「映える」ところが魅力。
誰でも、コンプレックスを隠したいとかマイナスから考えちゃうこともあるかもしれないけど、「素材を活かしながら映える」と考えると、ポジティブに自分と向き合えるし、自信もつく。そこも「派手メイク」の魅力だと思います。
――派手メイクにおいて、いちばん重要なパーツはどこでしょう。
同じメイクをしても、どう見えるかは本当に人によって違うので、ここ!とは一概に言いづらいのですが、強いていえば、その人の顔の中でいちばん輝いて見えるパーツ。だから、どこが自分のチャームポイントかと考えて、その個性を活かす方法を考えることが、派手メイクのポイントだと思います。あるいは、自分がいちばん魅力的に見せたいパーツでもいい。自分の顔の中でいちばん可愛く見える/見せたいところをポイントにするのがいいですね。
いまの時代を生きる、
パワフル&ポジティブな“Reiwaギャル”
model:新音
ギャル精神を近未来風にアップデート!
――「Reiwa(令和)ギャル」というテーマはどこから生まれたのでしょう?
「いまの時代を生きる、パワフルなポップアイコン」をイメージしたのが「Reiwa(令和)ギャル」です。最近は平成ブームで、「Y2K」と呼ばれるような2000年頃のギャルを、いま風にアップデートしたファッションが流行っていますが、それはたんなる懐古主義ではなくて。平成のギャルは、旧来的な美しさにNOを唱えて、自分たちのかっこいいと思うスタイルを貫いていた。その自由な反骨精神が、今のミレニアル世代から憧れや共感を集めていると思うんです。
そんなギャル精神を令和の時代に再現するなら、あらゆるものを超越した無敵感を出したいなと思って。ポジティブな近未来感を、私なりにヘアメイクに落とし込んでみました。
――今回のメイクでこだわったところを教えてください。
衣装が、韓国のガールズグループみたいな雰囲気だったので、ポップさを出したくて、目のまわりに星を散りばめてみました。ハートも可愛いなと思ったのですが、令和ギャルはとんがってるかなと思い、星にしました。今回モデルを務めてくれた新音ちゃんは、目の形や長いまつ毛がチャームポイント。それを際立たせつつもヌードっぽい抜け感を演出するために、星はあえて色を塗ってしまわず、型抜きにしたのがこだわり。いろんなカラーのグラデーションやキラキラのグリッターが目を引く、ポジティブ&キュートなメイクになりました。
仕上がりイメージ
星のステンシルでキラキラ感と抜け感を
星のシールを目の周りにランダムに貼ったら、パール感のあるディーププラム、グリッターカラーのシルバー&アメジストパープル、偏光パールの効いたブルーパープルの4色のアイシャドウを、チップで馴染ませてグラデーションを作って。シールを剥がせばインパクト大な近未来アイズが完成。
アイラインはアイライナーでまつ毛の隙間を埋めるようにインラインを入れる。まつ毛は上に長さを出し、下まつ毛はパープルのマスカラを、下まぶたのキワに入れたボルドーのアイシャドウと馴染ませるように塗って、シャープで凛とした佇まいに。
仕上がりイメージ
Reiwaっぽさの鍵は、メリハリシェーディング
Reiwaギャルは、ナチュラルでありながらメリハリの効いた肌印象で勝負。まず下地の上に、ハイカバータイプのリキッドファンデーションを自分の肌の色に合うように混ぜて塗って、リアルな質感のベースを作ったら、サラサラ&美肌補整効果のあるフェイスパウダーを顔全体に。さらに肌の色よりワントーン濃いパウダーで鼻筋横と鼻先に影を入れて、立体感を演出。最後に鼻筋に自然なツヤを作れるパウダーでハイライトを入れたら、骨格からリメイクしたようなメリハリ顔印象に。
仕上がりイメージ
マットと艶のW使いでヘルシーな印象の唇に
口もとは高発色で落ちにくいビタミンカラーのマットタイプの口紅を、唇の輪郭をぼかすように、ふんわりと塗って。唇の内側だけに淡く艶やかなベージュオレンジのリップをオン。これで唇が内側から発色しているような、パワーみなぎるヘルシーなうるうる感を演出できる。
A. 3Dクリエイトニュアンスパウダー EX-1 ※7/22発売商品
B. 3Dクリエイトニュアンスパウダー EX-2 ※7/22発売商品
――今回、KATEのアイテムで派手メイクを施してみてどうでしたか?
KATEのアイテムは私も高校生の頃から使っていましたが、とにかく使いやすいですよね。今回使った眉マスカラも赤味が入った絶妙なブラウンで、他にもカーキっぽいブラウンとか、絶妙なニュアンスが出せる色が揃っている。KATEは決して奇抜ではないのに、メイクの可能性を広げてくれると改めて感じました。
――“nasuメイク“を通して、どんなことを伝えたいですか?
この仕事をしていると、自分が可愛いと思ったものが批判されたり、逆にみんなが可愛いと言っているものが自分にはイイと思えなかったりすることはよくあって。全員が可愛いと思う「正解」はないとつくづく感じます。
でも、正解がないからこそ失敗することもない!と私はポジティブに捉えてるんです。だから、誰かが「それ可愛くない」と言ったとしても「めっちゃ可愛い!」って言う人も絶対いるから、自分がやりたいと思ったら気にせずやってみて!
――メイクを施された人に、どんな気持ちになってほしいですか。
メイクって外見的なものではあるのですが、メイクをガラリと変えると中身も別人みたいになれるのが醍醐味。だから、どうせなら俳優さんみたいに別の人間になったつもりで、他人の目を気にせず自由で開放的な気持ちになってくれたらうれしいです。
――那須さんのような「派手メイク」に興味はあるけど、冒険できずにいる人へアドバイスをください!
まず自分をよく知ることが大事。肌分析みたいなものが流行ってて、私はイエベだからこの色は似合わない!と思っている人も、自分はなにが好きかを第一に考えてほしい。自分の顔のどこが好きで、どこに特化したらテンションがいちばん上がるメイクができるのか。自分の気持ちに向き合って、トライして、自分で満足するのがいちばんハッピーだと思います。一歩踏み出してみたら、きっと楽しくなっちゃいますよ!
「Reiwaギャル」をテーマに、いまの気分が詰まった高揚感あふれる派手メイクを披露してくれた那須さん。次回は「休日の冒険メイク」をテーマに、ワクワクするような新しいメイクの可能性を表現していただきます。どうぞお楽しみに!
那須陽子
ヘアメイクアップアーティスト。都内の有名ヘアサロンを2021年に独立し、プライベートサロンを開く。多くの有名人やモデル、アイドルを顧客に持ち、雑誌やCM、コンサートのヘアメイクアップを担当。メイクでは「似合わせメイク」、ヘアでは、顔周りのデザインカット、ブリーチをつかったハイトーンカラーを得意とする。
Hair&Make:Yoko Nasu
Model:Ninon
Photo:Yui Fujii
Stylist:Yurika Nakano
Text:Keiko Iguchi
Edit:Junko Inui,Rei Yanase,
Mizuki Katsumata,Minami Miyakawa(Roaster)
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