THE CREATORS #nomorerules.

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KATE×いま注目のクリエイターが追究する「かっこよさ」

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THE CREATORS vol.1

木村一真 #1

2022.12.01

注目のクリエイターに、既存の枠にとらわれない表現を引き出してもらうことで、自己表現の可能性を広げていく新企画「THE CREATORS」。初回は、アーティストからの指名が絶えない人気ヘアメイクアップアーティスト・木村一真さんが登場。木村さんが表現するメイクアップとビジュアル、そしてそれを通して伝えたいこと、具体的なメイクポイントまで、3回にわたってお届けします。

NO MORE RULES.

NO MORE RULES.

NO MORE RULES.

表面的なものにとらわれない“かっこよさ”を求めて

表面的なものにとらわれない“かっこよさ”を求めて

表面的なものにとらわれない“かっこよさ”を求めて

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――「THE CREATORS」では、木村さんに3回にわたって異なるメイクアップを施していただきます。まずは木村さんの活動についてお聞きしたいのですが、“ヘアメイクアップアーティスト”といっても色々なお仕事がありますよね。

僕の場合は、ヘアアトリエ「skavati」のオーナー兼ディレクターとしてサロンワークも続けながら、MVやライブでのアーティストのヘアメイク、俳優のヘアメイク、広告などの仕事をしています。

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――木村さんが担当されているアーティストは、それぞれシーンでトップを走っているような方々です。ヘアメイクにも独自の「かっこよさ」が共通して表現されているのかなと思うのですが、木村さんの思う「かっこよさ」とはなんですか?

僕がかっこいいと思うのは、「粋」を感じるものですね。自分にとって、それは潔さというか、“諦めの美学”みたいなもの。「人の目なんか気にせず、自分はこれでいい」という諦めは、僕はかっこいいことだと思うんです。人生の時間って限りがあるものだし、それをどう使うかは自分次第。だから嫌なことはやめればいいし、無理に頑張らなくてもいい。潔くそう思える人は「粋」だなと感じます。

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――そう思うようになったのは、今までの経験からですか?

そうですね。23歳くらいまで、自分の外見を比較的ポジティブに活かして生きてきたけど、それだけだと中身がないっていうのにだんだん気づいて。当時いたサロンのオーナーに「このままだとペラペラな人間で終わるぞ」と言われたことも大きかったです。「人の目を気にするよりも、自分がかっこいいと思うものを大事にしよう」って決めた瞬間があったので、それが自分にとっての「粋」の始まりだったんじゃないかなと思っています。

それってメイクの表現にも通ずることで、一般的なわかりやすさや固定概念を捨てることで、新しい魅力を引き出せたりするんですよね。いい意味で一度諦めて、また挑戦していく、そのくり返しが粋な表現につながっていくのかなって。

本人も見えていない“本質”をメイクで表現したい

本人も見えていない“本質”をメイクで表現したい

本人も見えていない“本質”をメイクで表現したい

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――そもそも、ヘアメイクという仕事に興味を持ったきっかけはなんでしたか?

もともとは洋服が好きだったんです。小学生の頃から容姿を気にするようになって、あとは物作りが好きだったこともあって、美容師か料理人のどちらかの道に進もうと思っていました。自分の個性で何かを作ることや、人と違うことがしたいという憧れがあったんです。

「やるなら一流のヘアメイクを目指そう」と決めて、専門学校の授業料をアルバイトで稼ぎながら、早朝から学校に行ってひたすら練習をくり返してました。「自分の決心に嘘をつくのはダサい」と思ってたし、余計なことを考える時間もないくらい、とにかく手を動かしてた。それが今につながっていますね。

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――ヘアメイクにおいて、具体的なイメージの方法や、大事にしていることを教えてください。

まずは自分の感覚に従って、「この人にはこうしたら可愛いな、かっこいいな」っていうのをイメージします。そのうえで雑誌や洋書、ネットの画像を見たりして、レファレンスを探していく。本人たちのバックグラウンドを知ることも大事ですね。ファーストインプレッションから始まって、その人たちを知って、メイクに落とし込んでいく感じです。

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僕が重要だと思うのは、本人も気づいていない魅力を見きわめて表現すること。例えば、その人のわかりやすい特徴や印象をあえて抑えることで、新たな表情が生まれたり、もともと持っている本質的な美しさが際立ってきたりすることもある。本人の想像を超えるような表現に挑戦するっていうのは、ヘアメイクでもサロンワークでも大事にしている部分です。

〜木村一真「粋」×KATE〜

〜木村一真「粋」×KATE〜

〜木村一真「粋」×KATE〜

“諦めの美学”をビジュアルに落とし込んだ「粋」メイク

“諦めの美学”をビジュアルに落とし込んだ「粋」メイク

“諦めの美学”をビジュアルに落とし込んだ「粋」メイク

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色味を抑えながら、目に宿る“意思の強さ”を表現

色味を抑えながら、目に宿る“意思の強さ”を表現

色味を抑えながら、目に宿る“意思の強さ”を表現

Featuring フジエタクマ

Featuring フジエタクマ

Featuring フジエタクマ

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――今回、実際に「粋」というテーマをメイクに落とし込み、俳優・フジエタクマさんをモデルとして表現していただきました。具体的にはどんなイメージで作っていきましたか?

僕が粋だなと思う“諦めの美学”を表現するために、まずは僕が彼のアイデンティティだと感じている強い眉を捨てるっていうアイデアを考えました。明るいトーンの眉マスカラで色味を薄めて、眉の存在感を抑えることで、彼本来の目の美しさがより引き立ってくる。目もとに宿る強さや美しさを強調しつつ、艶や血色感みたいなものをにじませていくイメージです。そうやってあえて印象的な部分を消すことによって、新鮮な表情や本質的な魅力を引き出すのが、僕にとっての「粋」なメイクですね。

撮影した空間は、色味の少ない無機質なものをイメージし、また「粋」とつながる日本のテクスチャーを入れるために和紙を背景に使っています。無機質といっても、白と黒だけの世界になると、人間らしさがなくなってしまう。ちゃんと社会の中で生きている人にしたかったので、唇に少し赤を足していきました。前髪を潔く上げて、顔をしっかり見せているのもポイントです。

MAKEUP POINT

MAKEUP POINT

MAKEUP POINT

POINT 01 : EYEBROW

POINT 01 : EYEBROW

POINT 01 : EYEBROW

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“強み”をあえて消していく眉メイク

「粋メイク」のキーポイントになったアイブロウメイク。毛流れを活かしながら明るいトーンの眉マスカラを全体に塗っていき、存在感のある眉の色味をあえて抑えることで、自分自身の強みを潔く捨てる“粋”な美しさを表現。

眉に限らず、ときには自分の中で印象的だと感じるパーツの色味を消してみたり、抑えたメイクをしてみるのもおすすめ。そうすることで初めて目がいった他のパーツに、メイクのニュアンスを足していく。中心となるパーツを意識的に変えることで、自分自身の新たな魅力に出会えるはず。

POINT 02 : EYE

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儚さと強さをアイメイクで表現

目もとに宿る力強さやかっこよさを引き出すアイメイク。アイラインを引くのではなく、濃い色のマスカラを塗ることでやりすぎない“粋”なまなざしに。ビューラーは使わず、まつ毛の根元部分を中心に塗れば、さりげなく目もとの印象をアップできる。

普段のメイクに取り入れるなら、目頭部分にのみアイラインを引くのもおすすめ。目頭から黒目にかかるあたりまでラインを引くことで、丸みを帯びた目がソリッドな印象になる。仕上げに綿棒でぼかして馴染ませるとより自然な表情に。

POINT 03 : LIP

POINT 03 : LIP

POINT 03 : LIP

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無機質な顔に命を吹き込む赤リップ

全体的に色味を抑えた無機質なメイクの中に、人間らしさや血色感を与えてくれる「赤」をにじませたリップメイク。

ヌードカラーのリップを塗ってから、唇の動きにあわせて見え隠れするよう、全体ではなく少し内側に色を仕込むことで、無機質なメイクの中に絶妙な血色感が生まれる。

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――フジエタクマさん、今回のメイクでどんなことを感じましたか?

メイクをしながら「粋」の解釈について木村さんの言葉で教えてもらって、自分なりにイメージを膨らませていったのですが、それまで無意識だった「眉」というパーツの存在について、その意味や意義を考えさせられたのが新鮮でした。撮影セットが和紙だったので、ポージングも舞踊のような「和」の動きを意識しています。普段から舞台などでメイクをすることも多いのですが、今回のように新しい表現にも挑戦できる。メイクは楽しいなと改めて思いました。


「粋」という言葉をインスピレーションに、フジエタクマさんの新しい魅力を引き出してくれた木村さん。次回は、次世代俳優として注目を集める16歳のニューフェイス・南琴奈さんをモデルに、木村さんが新たな可能性を表現していきます。

NO MORE RULES.

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NO MORE RULES.

Profile

木村一真
ヘアメイクアップアーティスト。都内のサロンを経て、2022年に外苑前にヘアアトリエ「skavati」をオープン。アーティストのミュージックビデオやアーティスト写真、俳優の撮影仕事を中心に、ブランドルック、エディトリアル、広告などさまざまな媒体でヘアメイクを手がける。

フジエタクマ
静岡県出身の俳優・モデル。2016年にデビューし、映画、ドラマ、ミュージックビデオなどに出演するほか、自身で音楽活動も行なっている。wacciのMV『別の人の彼女になったよ』などの話題作に出演し、短編映画『WILD CHERRY』では主演を務めた。2022年はNetflixドラマ『金魚妻』が配信中のほか、映画『北風だったり、太陽だったり』の公開が12月に控えている。また、主演を務めた映画『Plastic』が2023年公開予定。

Staff

Hair&Make:Kazuma Kimura(skavati)
Model:Takuma Fujie
Photo:Koichiro Iwamoto(model),
Yui Fujii(creator)
Stylist:Sho Sasaki
Set Design:Yusuke Yamagiwa
Text:Mayu Sakazaki
Edit:Junko Inui,Rei Yanase,
Mizuki Katsumata,Hiroto Okazaki(Roaster)

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